「警察が積極的に動いてくれないなら、もう、どうすれば…」
目の前が真っ暗になり、社会から見放されたような孤独感に苛まれていませんか。私もそうでした。「親がやるしかない」と覚悟を決めたものの、具体的に何をすればいいのか、次の一歩が全く見えませんでした。
もしかしたら、あなたの頭にも「探偵」という選択肢が浮かんでいるかもしれません。でも、高額な費用がかかるその決断を下す前に、まだ、私たちができることがあります。
それは、無料で相談できる専門機関の力を借りることです。
お金をかけずに、今のこの苦しい状況を相談できる場所が、実はいくつも存在します。私自身、藁にもすがる思いでこれらの窓口について調べた時、「まだやれることがあるんだ」と、少しだけ心が軽くなったのを覚えています。
この記事では、私が調べ上げた公的機関やNPO法人について、「それぞれが何をしてくれて、何を注意すべきか」を、私の反省も交えながら具体的にお伝えします。
探偵を頼む前に知っておきたい支援窓口
これらの窓口は、それぞれに役割や専門性が異なります。あなたの今の状況に合わせて、一番相談しやすいと感じる場所から連絡してみてください。
1. 公的機関:行政の視点からサポートしてくれる場所
まず、国や自治体が運営している相談窓口です。信頼性が高い一方、利用にはルールや条件があります。
■ 児童相談所関連ダイヤル
児童相談所への相談窓口は、目的別に2つあります。これを間違えると意図しない結果を招く可能性があるので、注意が必要です。
- 児童相談所虐待対応ダイヤル「189」(いちはやく)
- 主な目的: その名の通り、虐待が疑われるなど、子どもの安全確保が最優先されるケースに対応するダイヤルです。家出も、子どもの安全が脅かされている状況と判断されれば対応の対象となります。
- 注意点: 相談内容によっては、職員が調査を行い、お子さんの安全確保のために親の同意なく「一時保護」という法的措置をとる場合があります。親としての悩みを相談するつもりが、意図せず調査対象となってしまう可能性もゼロではありません。
- 連絡先: 「189」(24時間対応・通話料無料)
- 児童相談所相談専用ダイヤル「0120-189-783」(いちはやくおなやみを)
- 主な目的: 虐待の緊急性はないものの、子育てやしつけ、発達など、一般的な子育ての悩みを専門家に相談したい場合のための無料ダイヤルです。
- <私の経験から>:追い詰められていると「189」に駆け込みたくなりますが、まずは親としての悩みや不安を整理したい、という段階であれば、こちらの専用ダイヤルの方が落ち着いて話を聞いてもらえるかもしれません。
■ 警察相談専用ダイヤル「#9110」
- 主な目的: 緊急ではないけれど、警察に相談したいことがある時のための窓口です。
- 注意点:
- まず、最寄りの警察署で「行方不明者届」を提出することが大前提です。この届出がなければ、警察のデータベースに登録されません。#9110への相談は、その後の手続きに関する質問などが主になります。
- 通話料は有料です。
- 受付時間は地域によって異なり、24時間対応の窓口もあります。事前にお住まいの地域の警察本部の公式サイトなどで確認しましょう。
- 連絡先: 「#9110」
■ 法テラス(日本司法支援センター)
- 主な目的: 法的なトラブルについて、弁護士などに無料で相談できる可能性があります。
- 注意点: 無料相談の利用には、「収入」と「資産(預貯金など)」の両方に厳しい基準があります。例えば、夫婦2人暮らしの場合、世帯の手取り月収がおおよそ27万円以下、預貯金などの資産が250万円以下といった基準があり、多くの方が対象外となる可能性があります。まずは公式サイトでご自身の状況が当てはまるか確認することをお勧めします。
2. その他の専門機関:家族全体や特定の悩みに対応
家出の背景にある、より根本的な問題に寄り添ってくれる機関もあります。
- 自立相談支援機関: 全国の市区町村に設置されています。経済的な困窮など、家出の原因が家庭全体の問題にある場合、家族からの相談も受け付けています。
- ひきこもり地域支援センター: お子さんの家出が、不登校やひきこもりの延長線上にあると感じる場合、専門的な知見を持つこの機関が有効です。家族からの相談も積極的に受け付けています。
3. NPO法人:民間の立場で子どもに寄り添う場所
行政にはできない、より現場に近い、柔軟なサポートを行っているのが民間のNPO法人です。ただし、利用には非常に重要な原則があります。
【NPOに相談する前の大原則】
多くの若者支援NPOは、支援対象を子ども・若者本人としており、子どもの安全とプライバシーを最優先します。そのため、親御さんから「うちの子はそちらにいますか?」と問い合わせても、お子さんの居場所や相談内容を親に伝えることは絶対にありません。
この原則を知らずに連絡すると、「何も教えてくれない」とさらに傷ついてしまう可能性があります。
- 親向けの相談窓口を持たないNPO(例:D×Pさん、Bondプロジェクトさんなど)
- これらの団体は、親が直接相談する場所ではありません。しかし、公式サイトや活動報告を読むことで、今の子どもたちがどんなことに悩み、どんな支援を求めているのかを知る、貴重な手がかりになります。「なぜ家出したのか」を理解するヒントが得られるかもしれません。
- 親からの相談を受け付けているNPO(例:NPO法人よつば さんなど)
- 一方で、親からの相談を専門に受け、カウンセリングや、必要に応じて専門調査機関(探偵事務所)の紹介などを行っている団体も存在します。
<私の経験から>
NPOに相談する際は、その団体が「誰を主な支援対象としているか」を、必ず事前にウェブサイトなどで確認することが大切です。
まとめ:正しい場所を、正しく頼ろう
こうして見ると、私たちを支えてくれる場所は、一つではないことに気づかされます。
しかし、それぞれの窓口には、明確な役割とルールがあります。
今の自分の状況と目的に合った場所を選び、正しい知識を持って頼ることが、遠回りのように見えて、実は問題解決への一番の近道なのかもしれません。
どうか、一人で抱え込まないでください。
そして、無駄な労力で心をすり減らさないでください。この記事が、そのための道しるべになればと、心から願っています。
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