育児時短就業給付金とは?対象・支給額・申請前の確認事項

育児時短就業給付金の対象と支給額を確認する母親 公的支援・職業訓練

育児のために勤務時間を短くすると、毎月の給与が下がることがあります。育児時短就業給付金は、その収入減を一部補う雇用保険の給付です。

結論からいうと、2歳未満の子を養育するために週の所定労働時間を短縮し、一定の受給資格と月ごとの要件を満たす雇用保険の被保険者が対象です。支給額は原則として時短勤務中に支払われた賃金の10%ですが、時短前の賃金に近いほど支給率が調整されます。

最初に会社へ確認する3点

  1. 育児時短勤務の開始日と、短縮前・短縮後の週所定労働時間
  2. 時短勤務中に毎月支払われる賃金の見込み
  3. 会社が受給資格確認と支給申請を行う時期

育児時短就業給付金の対象を確認

厚生労働省の2026年8月1日時点版パンフレットでは、次の2つを受給資格の基本要件としています。

  • 2歳未満の子を養育するために、1週間当たりの所定労働時間を短縮して就業する雇用保険の一般被保険者または高年齢被保険者である
  • 同じ子について育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き時短就業を始めた、または開始前2年間に一定の被保険者期間が12か月ある

後者の「一定の被保険者期間」とは、原則として賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月です。該当月がない場合は、賃金支払いの基礎となった時間数が80時間以上ある完全月で判定します。病気・けが・出産・育児などで30日以上賃金を受けられなかった期間があるときは、確認期間を最長4年まで延長できる場合があります。

育児休業から復職したその日から時短を始める場合だけでなく、復職日から時短開始日の前日までが14日以内の場合も「引き続き開始」と扱われます。

支給される月の4要件

受給資格があっても、すべての月に自動で支給されるわけではありません。各月について、次の4要件をすべて満たす必要があります。

  1. 月の初日から末日まで続けて雇用保険の被保険者である
  2. 週所定労働時間を短縮して就業した期間がある
  3. 月の初日から末日まで育児休業給付または介護休業給付を受けていない
  4. 高年齢雇用継続給付の受給対象ではない

月の途中で時短勤務を開始・終了しても、その月は支給対象月になり得ます。一方、月の途中で離職して被保険者資格を失うと、その月は原則として対象外です。月末に離職した場合は離職月も対象になり得ます。

「3歳未満の時短制度」と「2歳未満の給付」は別

比較育児短時間勤務制度育児時短就業給付金
何をするものか勤務時間を短くするための会社の制度時短による賃金低下を一部補う雇用保険給付
子の年齢原則3歳未満2歳未満
主な確認先勤務先の人事・就業規則勤務先と事業所所在地を管轄するハローワーク
お金賃金の扱いは勤務先の規程を確認原則、時短中に支払われた賃金の10%

会社に時短勤務制度があることと、給付金を受け取れることは同じではありません。「3歳まで時短できるから、3歳まで給付される」とは限らない点に注意してください。働き方そのものを比較したい場合は、時短勤務とリモートワークの違いもあわせて確認できます。

支給額は原則「時短中の賃金×10%」

時短前の賃金に対する割合支給額の考え方
90%以下時短中に支払われた賃金×10%
90%超〜100%未満賃金と給付の合計が時短前賃金を超えないよう支給率を調整
100%以上支給なし

たとえば、育児時短就業開始時賃金月額が30万円、対象月に支払われた賃金が20万円なら、賃金率は約66.7%です。90%以下なので、支給額の目安は20万円×10%=2万円となります。

同じ開始時賃金月額30万円でも、対象月の賃金が28万円なら90%を超えるため、支給率は約6.43%に調整され、厚生労働省の例では支給額は18,004円です。実際の支給額は端数処理などで異なる場合があります。

2026年8月1日からの上限・下限

  • 育児時短就業開始時賃金月額:上限496,200円、下限96,090円
  • 支給限度額:484,121円
  • 算定した支給額が2,562円以下の場合:支給なし

これらは2027年7月31日までの額で、毎年8月1日に改定されます。申請時は厚生労働省の最新パンフレットを確認してください。

時短前の賃金月額はどう決まる?

原則として、最初に育児時短就業を始める前の直近6か月に支払われた賃金の合計を180で割って賃金日額を算出し、30を掛けて賃金月額を求めます。臨時に支払われる賃金や、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金は含みません。

同じ子について育児休業給付の対象となる育児休業から引き続き時短勤務を始めた場合は、その育児休業給付で使った休業開始時賃金日額が引き継がれます。

いつまで支給される?

原則として、育児時短就業を開始した日の属する月から、終了した日の属する月までが対象です。ただし、次のいずれかに達した月までとなります。

  • 対象の子が2歳に達する日の前日が属する月
  • 産前産後休業、育児休業または介護休業を開始した日の前日が属する月
  • 別の子を養育するために育児時短就業を始めた場合は、その開始月の前月
  • 子を養育しないこととなった日が属する月

厚生労働省の説明では、年齢計算上「2歳に達する日」は2歳の誕生日の前日です。個別の終了月は会社またはハローワークに確認しましょう。

申請は原則として会社が行う

受給資格確認と支給申請は、原則として勤務先が行います。本人が希望すれば自分で行うこともできますが、育児時短就業開始時賃金の届出は会社が行う必要があります。提出先は、勤務先の所在地を管轄するハローワークです。電子申請も利用できます。

初回申請の期限

受給資格確認と初回支給申請を同時に行う場合は、最初の支給対象月の初日から起算して4か月以内です。厚生労働省の例では、7月10日に時短勤務を始めた場合、最初の支給対象月は7月で、提出期限は10月31日です。

2回目以降は原則2か月ごとに申請します。次回の申請期間は、ハローワークが交付する「育児時短就業給付次回支給申請日指定通知書」で確認します。

主な必要書類

  • 育児時短就業給付受給資格確認票・(初回)支給申請書
  • 子の出生日など育児の事実を確認できる書類
  • 時短の開始日と、短縮前・短縮後の週所定労働時間を確認できる書類
  • 対象月の賃金額と支払状況を確認できる書類

具体例として、母子健康手帳、賃金台帳、出勤簿、タイムカード、労働条件通知書、育児短時間勤務申出書などが示されています。同じ子について育児休業給付を受けていた場合は省略できる書類もあります。会社から渡される申請内容と通知書を保管しておきましょう。

対象外になりやすいケース

  • 実労働時間は減ったが、週所定労働時間を変更していない
  • 対象月の賃金が時短開始時賃金月額の100%以上
  • 短縮後の週所定労働時間が20時間未満となり、雇用保険の被保険者資格を失う
  • 月の途中で退職し、月末まで被保険者ではない
  • 同じ月に育児休業給付・介護休業給付を受けている

フレックスタイム制、変形労働時間制、裁量労働制、シフト制でも対象になり得ますが、「所定労働時間を短縮したと確認できるか」が重要です。単に欠勤して賃金が減った場合とは区別されます。

申請前の確認手順

  1. 会社の育児短時間勤務制度と、自分の利用期間を確認する
  2. 短縮前・短縮後の週所定労働時間を書面で確認する
  3. 時短中の賃金見込みと、開始時賃金月額の考え方を人事へ聞く
  4. 会社が受給資格確認と初回申請を行う予定日を確認する
  5. 支給決定通知書と次回支給申請日指定通知書を受け取る

時短後の手取りだけでなく、通勤時間や保育料、働ける時間も一緒に見直すと、生活に合う働き方を判断しやすくなります。転職も検討する場合は、パート・派遣・正社員の違い育児ブランクから再就職する手順を先に整理してください。求人サービスを使い分ける段階では、母親向け求人サービス比較に進めます。

まとめ

  • 給付の対象は、原則として2歳未満の子のために週所定労働時間を短縮する雇用保険の被保険者
  • 支給額は時短中の賃金の10%が原則。ただし賃金率、上限、最低限度額で調整される
  • 3歳未満を対象とする会社の短時間勤務制度と、2歳未満を対象とする給付金は別
  • 申請は会社が行うのが原則。初回期限を過ぎないよう早めに確認する

まずは勤務先へ「時短開始日」「週所定労働時間」「賃金見込み」「申請予定日」の4点を確認しましょう。個別の受給可否は、勤務先の所在地を管轄するハローワークで判断されます。

主な公式情報

本記事は制度の一般的な説明です。受給資格や支給額を保証するものではありません。制度・金額・様式は改定されるため、申請前に厚生労働省の最新情報、勤務先、管轄ハローワークでご確認ください。公式情報確認日:2026年9月13日。

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